2006年09月07日

トリスタン物語の成立と発展/あらすじ

 こちらでは、文学的な立場から「トリスタン」に接近してみようと思います。
 すなわち西洋中世から現代に至るまでトリスタン物語が如何に伝播していったか、の簡単な流れなんぞを資料を提示しつつ、一緒にお勉強できればいいかなと考えています。


ちなみに予定しているのはコチラ

・トリスタン物語のあらすじ
・カースル・ドアーのトリスタンの石碑
・ケルト伝説 〜ディアミッドとグラーイネ
・トルバドゥール 〜ベルナルト・デ・ヴェンタドルン
・エストワール 
・流布本体系  〜ベルールからアイルハルトへ
・騎士道物語本(風雅本)体系 〜トマからゴットフリートへ
・マロリーのトリスタン
・ベディエ
・サトクリフ
・研究資料

 あとは、「媚薬」や「モロアの森」等に対するちょっとした考察ができればよいかな、と。
 変更するかもしれませんし、予定しているものが全部出来るかどうかは分かりません。ホントに簡単なメモ程度の記述ですから、内容について過度に期待しないでくださいネ(笑)。ゆっくり更新して行こうと思いますので、よかったらのんびりお付き合いくださいませ。


 素人がかき集めた文献や資料から情報提示するゆえ、記述間違いや思い込みもあるかと思いますが、突っ込み&訂正は大歓迎です。
 (わたしがいい加減であることは、既に皆様ご存知かと…笑)むしろお願いします。
 感想や議論、質問なんぞ一言でも頂ければ、当方の励みになります。




・トリスタン物語のあらすじ

 まずは基本形。
 一般的に広く「トリスタンとイゾルデ」物語として知られているものの、あらすじからご紹介してまいりましょう。


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A. リオネスの騎士トリスタンは出生時に両親を亡くしたことから「悲しみの子」と名前を付けられていた。【生い立ち】


B. 伯父であるコーンウォールのマルケ王に仕えていたトリスタンはある日、貢物を巡ってアイルランドの豪傑、モロルトと決闘する。激闘の末どうにかモロルトを倒したものの、トリスタンも傷を負う。【モロルトとの決闘】


C. モロルトの剣の毒を直せるのは、秘術を使うアイルランドの王妃と王女だけだった。トリスタンは身の危険を承知で身分を隠して、アイルランドへ赴いた。楽師「タントリス」と名乗り、まんまと治療を受けたトリスタンは、体の具合が良くなるとすぐアイルランドを去る。【アイルランドへの旅1回目】


D. コーンウォールではマルケ王の王妃候補がいろいろ取り沙汰されていた。アイルランドの王女イズーが最適との結論に、トリスタンは王の使いとして再びアイルランドへ向かう。【アイルランドへの旅2回目】


E. アイルランドでは国を襲う竜の被害に悩まされていた。竜退治したものにはイズーと結婚させるというおふれが出ていた。トリスタンは見事に竜を倒し、イズーを得る。過去の遺恨は流され、イズーはコーンウォールの王妃になる取り決めが交わされた。【竜退治】


F. アイルランドの王妃は秘術を尽くして、愛の媚薬を作った。王妃は、婚礼の日にマルケ王とイズーの盃にこっそり入れるように侍女に指示して薬を託した。
 コーンウォールへと向かう船上で、喉の渇きを覚えた二人は酒を飲む。たちまちお互いの存在しか目に入らなくなった。その飲物こそがアイルランドの王妃が醸した愛の薬だった。【媚薬】


G. マルケ王とイズーが結婚したあとも、二人はこっそり逢引を続けていた。疑惑を抱かれながらも、周囲やマルケ王の目を上手く欺いていた。【大松】


H. 小びとのフロサンの姦計により、ついに恋は露見する。トリスタンはイズーを連れて城を脱出する。【トリスタンの跳躍】


I. ある日狩にモロアの森へ向かったマルケ王は、小屋で寝入っている甥と妃を発見する。二人の間に抜き身の剣が横たわっているのをみると、罪を許し、自分の剣に取替え、手袋を置いて立ち去った。【モロアの森】


J. 眠りから覚めた二人は王の寛大な処置を知り、トリスタンはイズーを城へ戻す決心をする。イズーは裁判で身の潔白を証明する。【灼熱の裁き】


K. 放浪の旅を続けるトリスタンはブリュターニュでカエルダンという騎士と親友になり、妹と結婚する。その名は「白い手のイズー」だった。結婚したものの、「麗しのイズー」を忘れよう訳も無く、新婦には指一本触れる事が出来なかった。【白い手のイズー】


L. 恋に苦しむトリスタンは狂人に姿をやつし、イズーの許を訪れる。【狂えるトリスタン】


M. やがて戦いに傷ついたトリスタンは、自分の傷を治せるのは恋人だけだと、窮地をコーンウォールに知らせる。首尾良くイズーを連れてこられた暁には船には白い帆、無理だった場合には黒い帆が掲げられることになっていた。この話を盗み聞きしていた「白い手のイズー」は嫉妬の炎を燃やした。
 やがてコーンウォールからの船が到着した。息も絶え絶えにトリスタンが帆の色を尋ねる。妻は無情にも見えている白とは違う色を言った。「黒い帆です」。哀れトリスタンは恋人の名を三度呼び、息絶えた。直後に到着したイズーも悲しみの余り心の臓をつぶしてしまった。
 マルケ王の計らいで二人は隣同士に葬られた。やがてお互いの墓から木が生い茂り、枝が固く絡み付いて決して離れることは無かった。 【白い帆、黒い帆】

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 あらすじを読むと、ワーグナーが如何に物語を切り取り、簡略化しているか、お分かりいただけると思います。
 つまり、ワーグナーが採用しているのは
 1幕 F.媚薬
 2幕 G.大松 H.トリスタンの跳躍 の変形
 3幕 L.狂えるトリスタン M.白い帆、黒い帆 の変形
 ということになりますね。


 もう少し詳しく知りたいという方は、ベディエの「トリスタンとイズー物語」佐藤輝夫訳(岩波文庫)をお読みください。
トリスタン・イズー物語

 これからの記述に対しても、より理解が深まることと思います。
posted by ぴっぽ at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 成立と発展
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